ビジネスにおける「ビジョン」の本質とは?
現代の企業経営においても、戦略を策定するためには明確な「ビジョン」が不可欠です。ビジョンとは一般的に、将来的に「成し遂げたい姿」や「ありたい姿」を示す理想像のことを指します。
私はよく経営者の方々に、ビジョンの定義について次のようにお伝えしています。
「ビジョンとは、現時点ではまだ実現していない、目に見えていない理想の姿を脳内で描き、それを言語化して表現することである」
見えていないものを「見えるように」表現する行為、これこそが英語でいう「ビジョニング(Visioning)」であり、それによって描かれた理想像がビジョンとなります。逆に言えば、すでに見えている現実や、少しの努力で届く延長線上の未来を言葉にしただけでは、それは本当の意味でのビジョンとは言えません。
見えない未来を可視化する力が組織を動かす
このようにビジョンの本質を照らし合わせると、「天下三分の計」がいかに優れたビジョンであったかが分かります。
当時の劉備にとって「漢王朝再興」は遥か遠い夢物語でした。しかし孔明は、その大義実現に向けたプロセスを、現時点では見えていない理想像として具体的に「見えるように」表現してみせたのです。
この明確なビジョンの提示があったからこそ、劉備とその家臣団は、進むべき道を見失うことなく一致団結し、大義に向けて突き進むことができたのではないでしょうか。
※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。















