農村では女の子を“間引いた”過去も~上海女性の未婚率は41%

 近年、中国の政治環境の変化や経済低迷により、若者が”生きる”環境が厳しくなっている。社会競争がますます激化し、若年層の失業率は上昇し続け、多くの人は自分自身の生活を維持できるのかという不安に苛まれている。不動産バブルが崩壊したとされても、住宅の価格はまだまだ一般の人の手が届かない。結婚となれば、住宅や子育てなどといった生活のあらゆる領域にかかわる壁が厚い。

 そのため、若者の間では「自分すら養えないのに、どうやって家庭を築くというのだ?」「子どもを産んだら、どういう状況が待ち受けているのか。果たして子どもを幸せにすることができるのか?」という不安の声や、「結婚は一番コスパが悪い」といった見解がSNSで広がり、共感されている。ゆえに、若者世代では、結婚や出産を控える「不婚不育」が大きなトレンドになっている。

 出生人口の激減は、もちろん上述の経済的な理由だけではない。中国の諺(ことわざ)で「三尺の氷は一日の寒さでならず」というように、30年以上も続いた「一人っ子政策」の下で、主に農村部で性別選択的な中絶が行われた。結果として、2020年の時点で、20~45歳の男性が同年代の女性より約3000万人多いという歪みが生じた。それらの男性のほとんどは農村部に偏っている。

 一方で、大都市では、高学歴かつ経済的に自立した女性ほど未婚率が高いという構造となっている。地域の格差が極めて大きい中国では、都市部で教育を受けて育った女性は、農村部にいる男性と価値観や生活環境がまったく違うため、到底結婚はできない。

 2025年8月の「上海人口発展報告」によると、上海在住の未婚女性は209万人、25~34歳の女性の未婚率は41%で、合計特殊出生率は0.7である。

教育機関の大量閉鎖と経済への影響

 このまま人口が減り続けていったら、将来、中国社会はどうなるのか。

 まず、大量の教育機関が消えていくことになる。中国国内の専門家は、「2027年以降、全国の幼稚園の少なくとも半数が閉鎖になる」と指摘している。

 実際、中国の調査機関の統計では、2023年から2024年の1年の間に、全国で閉鎖された幼稚園の数は約2万カ所に上った。この勢いで年を重ねるにつれ、次は小学校、その次は中高校、最後には大学まで、大量の教育機関が閉鎖に追い詰められていき、したがって、たくさんの教育従事者も失業する羽目になる。

 昨年、上海だけで45の幼稚園が廃業した。筆者の上海在住で3歳児を持つ知人女性が、「今まで名門幼稚園に入園するのは極めて困難だったが、今はこれらの幼稚園が園児の募集広告を出していて、びっくりした」と話していた。