「本日午前0時過ぎ、住宅火災があり、午前5時過ぎに鎮火しましたが、住民1人が未発見です。午前9時から消防と合同で現場見分予定です。住民は家にいたようなので逃げ遅れの可能性があります。遺体が発見されたら連絡します」と報告を受けました。

 外出していることを祈りますが遺体で発見されることも多いため、現場見分に立ち会うことにしました。

 火災現場では、警察と消防が連携して現場見分(現場検証)や火災調査を行ない、出火原因や事件性の有無などを確認します。当県(編集部注:埼玉県)では捜査第一課に火災犯捜査を専門とする火災犯捜査係があります。

 火災現場に臨場することも多い私は、火災犯捜査係員から「またですね」と挨拶されてしまいました。

火災の現場では
「現場捜査」がとにかく大事

 間取りは別居の親族から聞いてはいましたが、一戸建て家屋が全焼し天井も崩落しています。全てが焼け落ち足の踏み場もないうえ、消火活動のため水びたしです。鑑識の写真撮影を優先させつつ、現場見分が始まりました。

 火災現場では、まず出火部はどこか注意深く観察します。屋外から出火したとなると放火などの可能性があり、屋内からの出火でも放火か失火かの認定は、火源や家人の有無、出火時の状況などにより慎重に見極める必要があります。

 通報者の話によれば、ガタガタというような音がした方向を見ると一軒家1階の窓の内側に大きな炎が上がっていたので、119番通報したとのことです。

 火災の現場が他の検視の現場と違うところは、大抵の物が燃えてしまっており環境捜査が困難を極めることです。

 以前、解剖医から「火災では現場捜査がとにかく大事」との教えを受け、火災犯捜査係員や消防隊員から現場の見方を教えてもらうようにしました。確かに全焼といっても柱や天井など燃え残っている部分もあり、痕跡を見れば火源に近いほどよく燃えており、燃え広がりの状況がわかります。

 火災の原因は、電源のショート(電線やコードの絶縁不良やタコ足配線などが原因で大きな電流が流れる現象)、タバコの不始末、線香の消し忘れ、料理時などの炎の衣類への燃え移り(着衣着火)、焼身自殺などさまざまですが、木造家屋は早く燃え広がります。