火の勢いがおさまりつつある現場で消防隊員から消火の状況を聞くこともありましたが、一旦火災の勢いが弱まり拡大の恐れがなくなった(鎮圧)としてもなかなか鎮火に至らないなど、消火活動の大変さも垣間見ることがありました。

火災の遺体は
全身炭化状態のことも多い

「台所で遺体を発見しました」との報告がありました。思ったよりも早かったですが、この後のことを考えると早いに越したことはありません。

 火災の遺体の多くは外表が火傷で覆われ、上層階や屋根の崩落などによる損傷もあります。状況によっては、焦げて真っ黒に炭化し骨や内臓が露出し、手足は燃え尽きていることもあります。今回の遺体も全身ほぼ炭化状態です。

 遺体を動かす前に遺体や火元らしき箇所などの鉱物油反応、つまりガソリンなどを撒いて(撒かれて)火をつけた(つけられた)のかどうかを確認します。鉱物油反応が陽性なら、自分で撒いた自殺の場合もありますが、殺されたうえで火をつけられた可能性など事件性を含め、さらに綿密な捜査が必要になります。今回は陰性です。

 いよいよ遺体を運び出しますが、足場も悪く崩落等の危険も伴います。これから署に搬送して検視、そして解剖の準備です。

 どんなに損傷が激しいとはいえ、もしかしたら体のどこかを刺されていたり殴られていたり首を絞められたりしている可能性もあるので、より慎重に検視を行ないます。

 また、火災では現場も遺体も燃えてしまっていて、事件性の有無や死因などがすぐに明らかにならないことが多く、大抵は解剖になります。

 火災における死因はさまざまで、煙に巻かれて死亡した一酸化炭素中毒、火炎に巻かれて酸素欠乏状態になり短時間で死亡した窒息、熱気を吸入した気道熱傷、あるいは火傷、パニックによるショック、焼け落ちる建材による打撲などが考えられます。

 翌日の解剖の結果としては火傷以外の損傷はなく、火炎に巻かれ酸素欠乏状態で死亡に至ったようです。