日本の死因究明制度を改善し体制を強化するために、2012年に「死因究明等の推進に関する法律」(旧推進法)が成立しました。
これは時限立法でしたが内閣府に推進会議が設置され、2014年には死因究明等推進計画が閣議決定されました。その後も死亡者数が年々増加し多死社会が現実のものとなるなか、2020年4月に基本法が施行されたのです。
基本法では、「死因究明等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し」、「安全で安心して暮らせる社会及び生命が尊重され個人の尊厳が保持される社会の実現に寄与する」ことを目的とし、厚生労働省に死因究明等推進本部を設置することなどが定められています。
主な施策としては、専門的人材の育成、教育・研究拠点の整備、専門機関の全国的な整備、警察など関係機関の体制充実、検案・解剖体制の充実、科学調査の活用と身元確認のためのデータベース整備、死因情報の活用と遺族への説明促進、情報管理の適正化などが示されています。
2040年には年間死亡者数が167万人に達すると推計され、変死事案も増加が見込まれます。死因究明は個人の問題を超えた社会の課題です。死因究明に対する社会全体の理解と体制整備が望まれます。
将来の対策のためにも
災害時の死因究明は重要
災害時においても、死者の死因究明や死亡状況の検証は、将来の災害対策に重要な示唆を与えます。
死者はどこで、なぜ、どのようにして亡くなったのか。生存者との違いは何だったのか。こうした死の経緯を丁寧に分析することで、次の世代の命を守る教訓を得ることができます。
しかし、先述のように、日本では平時でさえ死因究明体制に課題が多く、ましてや大規模災害時には検視官や検案医が足りず、現場対応が逼迫するのが実情です。
ここで、2014年の御嶽山噴火災害の事例を紹介します。9月27日午前11時52分、秋晴れの登山シーズンに突然起きた御嶽山(長野県・岐阜県)の噴火により、57人が死亡、6人が行方不明となりました。







