税務署が絶対許さない「名義預金・タンス預金・名義株」のNGパターン
本連載は、相続に関する法律や税金の基本から、相続争いの裁判例、税務調査で見られるポイントを学ぶものです。著者は相続専門税理士の橘慶太氏で、相談実績は5000人超。遺言書、相続税・贈与税、不動産、税務調査、各種手続といった観点から相続の現実を伝えています。2024年から始まった「贈与税の新ルール」等、相続の最新トレンドを著書『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』から一部抜粋し、お届けします。

税務署が絶対許さない「名義預金・タンス預金・名義株」のNGパターンPhoto: Adobe Stock

税務署が絶対許さないNG行動とは?

 本日は「相続と税務調査」についてお話をします。年末年始、相続について家族で話し合った方も多いかと思います。ぜひ参考にしてください。

 税務調査で「ここはよく見られる」という論点はいくつかありますが、相続の場面で特に指摘されやすいものを3つに絞ると、名義預金、タンス預金、名義株です。いずれも、名義や形式だけを見るのではなく「実質的に誰の財産なのか」「申告内容と資金の動きが整合しているか」という観点で確認されます。

「名義預金」のNGパターン!

 1つ目は名義預金です。子どもや孫名義の通帳にお金が入っていても、実際には親が管理していたり、原資が親のお金だったりすると「名義を借りているだけではないか」と見られやすくなります。名義が誰であっても、実態として親の財産と判断されれば、相続財産に含めて申告すべきものとして指摘の対象になります。家族名義の口座は「善意でやっている」つもりでも、管理状況や入出金の経緯が説明できないと疑義が生まれやすいので注意が必要です。

「タンス預金」のNGパターン!

 2つ目は、いわゆるタンス預金です。とくにチェックされやすいのが、亡くなる直前の現金引き出しです。亡くなる2~3か月前に数百万円、場合によっては1000万円近くを現金で引き出すケースは実際に珍しくありませんし、引き出すこと自体が悪いわけではありません。

 問題になるのは、その引き出した現金があるはずなのに、申告書では「現金はありません」としてしまうような、資金の動きと申告内容のズレです。大きな引き出しがあるのに現金計上がないと「その現金はどこへ行ったのか」となり、調査のきっかけになりやすい。つまり、現金があるなら申告に反映し、きちんと納税することが基本になります。

「名義株」のNGパターン!

 3つ目は名義株です。名義預金と同じ発想で、名義は配偶者でも、実質は亡くなった人が運用していたと判断されると指摘されやすい論点です。夫婦の間では、奥さん名義で証券口座を持っていても、銘柄選定や売買判断は実際には旦那さんが行い、元手も旦那さんの退職金などから出ていた、というケースが起こりがちです。

 この場合、口座の名義が奥さんであっても「実質的には旦那さんの財産として申告すべき」とされ、申告のやり直しを求められることがあります。税務調査では亡くなった人の財産だけでなく、配偶者が現在どれくらい資産を持っているか、そしてその資産がどう形成されたのかも確認されます。たとえば専業主婦だった配偶者に多額の金融資産がある場合、「どうやってそのお金ができたのか」という説明を求められやすく、そこで「主人が送金してくれた」という流れが見えてくると、申告の前提自体が問われることになります。

共通するポイントは?

 この3つに共通するのは、名義や形式の整え方ではなく、資金の出どころと管理の実態、そして申告書との整合性です。逆に言えば、実態に合わせて正しく申告し、説明できる状態にしておけば、必要以上に不安になることはありません。調査で「狙い撃ち」されやすいのは、数字や履歴が語る事実と申告内容が噛み合っていないときです。申告の段階で一度立ち止まり、口座や現金、運用資産の「実質の持ち主」を整理しておくことが、最大の防御になります。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)