カウンセリングでは、関係をよくするために何ができるかを明らかにすることができる。誰の課題かを知ることは、そのための第一歩である。
子どもが親に注目されたいと思って、学校に行かなくなることがある。そのような場合は、本当は子どもは自分で望んで学校に行かないと決めたわけではない。親が困ることをして注目を得なければならないと考えたにすぎない。
このような親子関係は、よい関係とはいえないだろう。親はカウンセラーに相談して、関係改善のためのアドバイスをもらうことはできる。
話を戻すと、およそあらゆる対人関係のトラブルは人の課題に土足で踏み込んだり踏み込まれたりすることから起きる。だから、関係をよくするためには、まず課題を分離しなければならない。
価値観を押し付けるのではなく
自立の援助をするだけで十分
もっとも、課題の分離は対人関係の最終的な目標ではない。
人は協力して生きていくのが本来のあり方なので、助けを必要とする人がいれば協力しなければならない。ただし、相手の課題に土足で踏み込むことにならないように、共同の課題にする手続きを踏まなければならない。
勉強しない子どもに勉強しなさい、学校に行かない子どもに学校に行きなさいとは本来いえない。しかし、子どもの課題であることをわかった上で、子どもがどう決定するか援助するために親と子どもの共同の課題にすることはできる。
子育ての目標は自立である。子どもが自分の人生を生きられるようになることが自立であり、親の役割は子どもが自立するための援助をすることである。
アルフレッド・アドラーは次のようにいっている。
「親の課題は、自分で自分のことができるようになるように、子どもにできるだけ優れた人生の準備をすることである」(『子どもの教育』)
親は子どもが自立に向けて変わっていくことを容易に受け入れられないかもしれないが、その変化は子どもにとって「よい方向への変化」である。
人はみな過ちを犯すと思えば
怒りの感情は協力に変わる
親子関係に限らず、広く人々が協力することに関して、マルクス・アウレリウスは次のようにいっている。
「私は同類の者に腹を立てることも、憎むこともできない。なぜなら、我々は足や手や瞼や上下の歯並びのように協力するために生まれてきたからだ。だから、互いに対立することは自然に反する。憤り、背を向けることは対立することである」(『自省録』2・1)







