わが子がぐんぐん伸びる!中高一貫校&塾&小学校【2026年入試版】#24

「御三家など難関校を狙うならSAPIX」という考え方はもったいない。首都圏には四大塾以外にも魅力的な中学受験塾が多くあり、それぞれ独自の強みを発揮しているからだ。特集『わが子がぐんぐん伸びる!中高一貫校&塾&小学校』の#24では、王者SAPIXと同等の御三家合格率を誇るエルカミノ、希学園首都圏、グノーブルのキーマンに難関校合格の秘訣や指導方針を直撃。上位何割にいれば最難関校が射程圏となるのかや、その塾の「真ん中」の子どもが狙える具体的な学校名についても明らかにしてもらった。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

難関校に強い精鋭塾は個性派ぞろい
講師との距離が近いのも魅力

 難関校を目指す小学生にとって、中学受験塾は「合格」という同じ目標を持った仲間と切磋琢磨しながら、長い時間を過ごす空間である。合格実績だけでなく、子どもにも家庭にも最適な塾を検討するべきだろう。

 特に首都圏の場合、四大中学受験塾(SAPIX、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミー)以外にもさまざまな中学受験塾が存在する。今回は規模では劣るものの、難関校合格率ではSAPIXと同等の精鋭塾であるエルカミノ、希学園首都圏、グノーブルについて解説。各塾のキーマンへのインタビューもお届けする。

 下表は2025年入試における各塾の在籍者に対する難関校合格者数と合格率だ。

 合格実績は優秀な子どもが複数の学校に合格して稼ぐケースもあるが、男女御三家(開成、麻布、武蔵、桜蔭、女子学院、雙葉)の入試は2月1日の1回なので、上位層の実力を反映している。同じく入試が2月1日のみの駒場東邦、慶應義塾普通部、フェリス女学院を加えた数字も参考値として掲載した。

 まずは御三家合格率を見てみよう。

 御三家合格率でSAPIXを上回っているのはエルカミノと希学園首都圏。エルカミノは約4人に1人が御三家に合格している。

 グノーブルも11%を超えており、駒場東邦、慶應普通部、フェリスを加えた合格率ではSAPIXとほぼ同水準である。四大塾でSAPIXに次いで難関校に強い早稲田アカデミーの御三家合格率が8%台前半ということを考えれば、いずれも高い数字である。

 エルカミノ、希学園首都圏、グノーブルに共通する強みは講師と生徒の距離が近く、面倒見がいいことだ。大手塾と比較して規模が小さい分、優秀層が一つの校舎に集中して、切磋琢磨する環境が生まれやすいのもメリットだろう。

 それでは各塾の特徴を見ていこう。面白いことに難関校に強い塾という共通点以外は、指導方針や雰囲気、入塾テストの難易度はさまざまである。

 御三家合格率が最も高いエルカミノの強みは「算数」にある。村上綾一代表も「算数が強い子向き。勉強が好きな子を正しく伸ばしてあげたい」と明言する。

「算数好き男子」が多いせいか、7:3で男子比率が高いことも特徴だ。入塾は低学年からが多く、4年生以降の入塾はハードルが高い。

 授業時間は短いが内容が詰まっており、集中力が必要となる。最難関の筑波大学附属駒場にも25年は15人が合格している。

 対照的に希学園首都圏は関西系らしい「熱さ」が特徴だ。先生からの声掛けも多い。

 滞在時間が長い塾であり、4年生以降は通常授業後に自習時間が設定されている。ハードではあるが、共働き家庭にとっては伴走の負担が相対的に少ない。

 山﨑信之亮学園長は「『自走』は理想ではあるが、自習を通じて正しい勉強法を学ぶことには意味がある」と指摘する。25年は在籍201人全員が合格をつかむなど下位クラスのフォローにも定評がある。

 グノーブルは三つの塾の中では最も規模が大きく、四大塾と小規模塾の中間的な存在だ。「小規模塾のきめ細かさ」と「大規模塾のクラス昇降の緊張感」という良いとこ取りが狙える塾である。男子だけでなく、女子御三家の合格実績も高い。

 特に国語の記述指導に定評がある。また、目先のテクニックよりも本質的な力を育む指導を意識している。

 5年生まで通塾回数が週2回であり、習い事との両立を目指す家庭からも選ばれやすい。その分、家庭学習に主体的に取り組む姿勢や、保護者のサポートが重要になる。

 塾選びについては、子どもだけでなく、家庭との相性も重要である。主役は子どもだが、保護者の関わりも不可欠なのが中学受験だからだ。気になる塾については、実際に足を運んで説明会などで雰囲気を確認してみよう。

 次ページでは各塾のキーマンに強さの秘密や教育方針、上位何割にいれば難関校に合格するのかなど合格実績についても直撃。「真ん中や下位クラスから合格可能な中学」も具体的に聞いた。

 各塾の個性が出たインタビューをお届けするので、これから塾を選ぶ保護者や、通塾中の塾に疑問を感じて転塾を検討している保護者はぜひチェックしてほしい。