内田:山梨でもそんなに違うものですか。
養老:違いますね。昇仙峡の奥ですよ。山奥なんで冬は寒いだろうけど、住めないわけじゃないなと。
内田:住めるところは、日本列島のどこにだってあるんですよ。基本的に、集落ができるのは川のほとりですから。
養老:本当に上手に工夫して、余裕のあるうちに今からやっておいたほうがいい。
地方での農業暮らしが
頓挫してしまう理由
内田:そうですね。さきほど言った「山の家」も、超限界集落で、80代の方が2人いるだけで、どちらかが死んだら残った方は集落を去ると言っておられるので、人口ゼロになるのは時間の問題だったんです。そういう集落が日本中に何千とある。
そういうところに「移住する」ということになるとだいぶハードルが高いので、「別宅」を作って、二拠点生活するというのは、どうか。二拠点生活なら、それほど心理的にも、経済的にも難度が高くない。これは国策として政府が推進してもいいと思うんですね。
地方移住した人の場合も、なかなか続けられないという話を聞きます。理由を聞くと、やはり農業だけでは現金収入が足りない。食べ物を作っているから、食べるのには困らないのだけれど、子どもができると、教育や医療には現金が要る。しかたなく、離農して、サラリーマンに戻ったという門人がいます。彼に聞くと、やはり農業の方がずっと仕事としてやりがいがある。でも、農業では子どもを育てるだけの現金収入が得られない。
こういう人を政府や自治体はもっと支援すべきだと思います。就農してくれるなら、月15万円まで保証しますとか。そういう具体的な支援策があれば、都市を離れて地方に行く人は確実に増えると思います。東京のブラック企業で疲弊するより、自分で農作物を作って暮らす方が精神的にストレスが少ないし、「帰りなん、いざ田園に」という郷愁のようなものは東アジアには伝統的な感受性として今も残っていると思います。







