一億総二拠点生活化を
実現するために必要なこと
内田:いずれにしても、大きな自然災害があった場合に、政府や自治体が住民を適切に支援してくれるということはもう期待しないほうがいいと思います。故郷で暮らすことは諦めて、都市に集まれという対策を政府は出してくる。それが資本主義の要請なんですから。
でも、そうやって資本主義の要請に屈して、列島を過疎地と過密地に分断するよりは、列島のあちこちに小さいコミューンを立ち上げて、「困った人は来てください。ここにいる限り、とりあえず雨露はしのげて、食べるものは確保できますから」と食料や医療や必要なら教育を提供できる仕組みを作る方がずっといい。
『日本人が立ち返る場所』(養老孟司、内田 樹、KADOKAWA)
そういう小さな共同体のネットワークが整備されたら、大きな災害が来ても、リスクは抑制できる。そのための準備として、里山に相互支援・相互扶助の共同体を今から手作りしておくことが喫緊の課題だと思います。
僕の考えでは、そういうコミューンは最初に「やろう」と言い出した人が、身銭を切って、「持ち出し」で作るしかない。それはたぶん「親切な家父長制」というようなものになるんだと思います。全員が平等で、同じだけ負担し、同じだけ利用できるというような共同体は、理屈では作れても、現実には無理です。
最初に「銭のないやつはオレんとこへ来い。オレもないけど心配すんな」と宣言する人が必要です。「共同体の立ち上げコストはオレが負担する」と断言して、身銭を切る人がどうしても必要です。そういう人の頭数をどうやって増やしてゆくか。それが課題だと思います。
養老:おっしゃる通りだと思います。







