
関東大震災の時から変わらない!?
イタリアの「TKB48」とは大違い
日本は災害大国である。地震などの災害が起きたときに、誰しもが体育館などの避難所で避難生活を余儀なくされる可能性がある。最近になってようやく、避難所の環境の劣悪さが問題視されるようになってきた。
例えば2024年の能登半島地震では、後に段ボールベッドが導入されたとはいえ、当初、被災者は「避難所での雑魚寝」を強いられた。こうした光景はあまりにも当たり前となっているので、違和感を持つ人は少ないかもしれない。しかし私ががくぜんとするのは、この雑魚寝の光景が、1923年の関東大震災の時とほとんど変わらないことだ。
欧米の避難所ではまったく異なった光景がある。例えば、地震多発国であるイタリアでは、日本のように災害支援を地元自治体に丸投げするのではなく、国(市民保護局)が主導して訓練を受けたボランティアを一斉に動員する。
そして「TKB48」と呼ばれる避難環境が確立されている。
移動式のシャワー室やトイレ(T)、移動式キッチンで供される温かい食事(K)、家族単位のテントとベッド(B)が、被災地に48時間以内に提供されるのだ。
避難所での雑魚寝が、日本社会で100年以上も改善されず放置されてきたのは、いったいなぜなのか?
その理由として、欧米流の「個人」やプライバシー意識よりも「世間」が重視されて、「他人に迷惑をかけるな」「迷惑をかけたくない」という同調圧力や意識があり、被災者が声を上げにくい空気があるからだと考えられる。