公共喫煙所を約180カ所設置(読売新聞オンライン 2025年1月26日  https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20250125-OYO1T50043/)したほか、パチンコ店の喫煙所などを無償開放、指定喫煙所の設置を支援するための補助金制度も拡充したが、それでも「足りない」という声が上がったのである。

 今のところ横浜市全域にどれほど喫煙所をつくるのかという具体的な話は出ていないが、政策研究シンクタンク「プランワークス」によれば、もし市内全域を路上喫煙禁止にすれば必要な喫煙所は614カ所と試算している。横浜市が指定する喫煙禁止区域内に限ると必要なのは91カ所で、現在の設置数17カ所ではまったく足りていない(横浜市内における分煙施設の整備について https://planworks.jp/wp-content/uploads/2026/01/20260120_yokohama.pdf)。

「じゃあサッサッとつくれよ!喫煙所ができたら路上喫煙もタバコのポイ捨ても減るんだから、喫煙者を煙たがる嫌煙家も納得だろ」という声が聞こえてきそうだが、こういう「環境整備」が進められないのが日本である。

 わかりやすいのは「観光地のゴミ箱」だ。

「マナーの悪い外国人観光客がゴミのポイ捨てをした!」というニュースがよく流れるので、外国人観光客というのはモラルも常識もない「無法者集団」だと思っている人も多いだろう。だが、実は彼らの思考回路は「喫煙所がないからしゃーないか」という理由で、路上喫煙やタバコのポイ捨てをする喫煙者とそれほど変わりがない。

 なぜかというと、実は日本の観光地には他国と比べてもゴミ箱が圧倒的に少ないからだ。

 昭和の時代は街のそこかしこに「くずかご」というゴミ箱があったのだが、1995年の地下鉄サリン事件以降、テロ対策として公共施設や観光地でのゴミ箱の撤去が進み「ゴミは各自で持ち帰る」という“平成ニューノーマル”が定着した。

 これは日本人にとってはお馴染みのマナーだが、市街地や観光地にゴミ箱があるのが当たり前という国からやってきた人はそうではない。観光庁が実施した「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査」(2024年度)で、外国人観光客に旅行中の困りごとを聞いたところ、「ゴミの捨て場所が少ない」(21.9%)がトップだった。

 つまり、多くの日本人が憎悪を抱く「マナーの悪い外国人観光客問題」というのは、実は外国人観光客側の「民度」がどうこうという話以前に、「観光客が大挙するところにゴミ箱を設置していない」という日本の環境整備上の問題もあるのだ。