一連の新設備の登場によって、20世紀後半の街中の泥酔者たちは、世紀前半と比べると、圧倒的に警察に「保護」されやすくなる。つまり警察統計の上では、世紀前半よりも、酔っぱらいの数字がずっと大きく出るような条件が整うことになる。街区を徘徊する酔っぱらいへの嫌悪の高まりから、20世紀後半には、市民たちもまた泥酔者の保護を率先して警察に要請しはじめるのだから、なおさらだ。
21世紀の東京では、
泥酔者・酩酊者が減少
そのため、節酒型・労働配慮型の飲み方が完全に定着したにもかかわらず、1960年代から80年代の東京で保護された泥酔者・酩酊者の数や対人口割合は、世紀前半と比較しても全く減っていない(表4)。20世紀前半期の泥酔統計が、身柄を拘束され管轄署に留置された酔っぱらい(行政執行法上の「保護検束」をうけた泥酔者)だけを数えていることもあってか、見かけ上の数字は、むしろ後半期のほうが大きいほどだった。
同書より転載。図表作成:本島一宏 拡大画像表示
対して20世紀末から21世紀の東京では、街の酔っぱらいは、ゆっくりと減少に転じはじめている。2000年度、2010年度、2023年度において、都内で保護された泥酔者・酩酊者の実数は、戦後ピーク期の1970年度と比較すると、どの年度も2万人程度減っている。保護された酔っぱらいの数が人口に占める割合も、酒類の大幅な減産が行われた1940年度と、あまり変わらないほど小さい(表4)。
飲まない男性が増える一方、
東京では女性の酔っぱらい増加
世紀の変わり目から、街の酔っぱらいが目立たなくなった理由は、ごく簡潔に説明できる。男性勤労者たちが、20世紀後半よりも、酒を飲まなくなったためである。







