東京都が都民を対象に毎年行っている健康調査を例にとってみよう。1984年度の「都民の健康に関する世論調査」では、男性回答者531人のうち、週3日以上飲む人びとが半数を超えていた(53%)。対して40年後(2024年度)に行われた「健康に関する世論調査」では、男性803人のうち週に3日以上飲むのは39%で、1984年度と比べ14ポイントも減っていた。ことに20代の男性(61人)では、週3日以上飲むのは14%と、あきらかに酒離れの傾向を示している(『都民の健康に関する世論調査』、『健康に関する世論調査』)。
同じ都民健康調査では、男性の非飲酒者の割合も、大きく伸びている。酒を一切「飲まない」という男性都民は、1984年度が12%だったのに対して、2024年度は20%である。また2024年度調査では、酒を飲むのを「やめた」と答えた男性も、別に5%存在した。
ただ、この穴を埋めるように、女性の習慣的な飲み手は都市において増えている。1984年度の東京都健康調査では、女性の回答者549人のうち、週3日以上飲むのは15%しかいなかった。対して2024年度の調査では、女性回答者1047人の20%が、週に3日以上は酒を飲むと答えている。
警察の保護泥酔者に、多数の女性が含まれていることも、21世紀の大都市の特徴の1つにあげられる。
19世紀後半から20世紀後半まで、東京の泥酔者の大多数は、男性で構成され続けていた。たとえば1880年度の東京府で救護された「酔倒人」2643人のうち、女性は2%(64人)。80年後(1960年度)の東京でも、保護泥酔者1万2392人のうち、女性の酔っぱらいは6%(835人)しかいなかった(『東京警視本署事務年表』1880年度、『防犯部年報』1960年度)。
それが、21世紀の東京では、事情が大きく変わりはじめている。たとえば2010年度に警視庁が保護した泥酔者・酩酊者1万1106人のうち、1838人は女性で、全体の16%を構成した。2023年度の場合も、保護泥酔者・酩酊者1万3317人の19%(2636人)は女性の酔っぱらいである。つまり東京に限っていえば、21世紀の酩酊文化は、男性勤労者特有の文化として、論じがたくなっている(『警視庁の統計』2010年度、2023年度)。







