筆者はコロナ禍後の財政引き締めが拙速であったと考えており、現時点で内部留保課税を本記事で主張しているわけではありません。今後の選択肢としての可能性を広く考えることを示唆しているだけです。
内部留保課税は税法上に規定がある同族会社に対して留保金課税として存在しており、国税庁HPには状況をまとめた統計(会社標本調査第8表)まであります。
米国(accumu-lated earnings tax)や韓国にも存在しており、日本で一般的な同族企業への課税という観点から考えることができるでしょう。
内部留保課税というと、何かとんでもなく非常識なことを言っていると、冷笑する人がいます。しかし既に現実にあるものなのですから、タブー視する必要はありません。気に入らない議論をタブー視して、何も分かっていないと皆ではやし立て、冷静に問題を考えないから、何事もうまくいかないのです。
富の海外流出を招く
上場日本企業の株主構成とは
さて配当増加は長期的にその必要性は大きく、近年のNISA拡充等は、筆者は適切な政策と考えてきました。また技術のトレンドが株式有利に動いていることもあります。
ただし現時点では配当増加や企業ガバナンス強化は即効性はないどころか、富の海外流出を招いてしまいます。その理由は上場日本企業の株主構成にあります。
2024年度の日本証券取引所の調査では金融機関(28.3%)と外国人(32.4%)で過半を占めており、他方、家計保有比率は17.3%にすぎません(1970年には37.7%)。企業や金融機関が保有している株式も外国人が3割、家計が2割保有していると順繰りに考えていくと、上場日本企業は究極的に3対2の比率で外国人と家計が保有しており、全てが外資企業と考えることすらできます。
この状況で配当を増やしても、外国人に回ってしまい、国内の最終需要増大にはつながりません(このところ日本の家計も海外株式を保有することが増えてきました。だからお互い様という側面はもちろんあります)。







