並んだビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

人手不足と高齢化が進むなか、従来の画一的な定年制度では企業の競争力維持は困難だ。三菱UFJ銀行やサントリーなどは、年齢による一律減額を廃止し、成果に応じた柔軟な処遇制度への転換を加速している。ミドルシニア戦力化の鍵となる、人事制度改革の最前線を探る。※本稿は、坂本貴志・松雄 茂著『再雇用という働き方 ミドルシニアのキャリア戦略』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

ミドルシニアの活躍を
促すための3要素

 近年は定年延長制度の割合が高まる傾向があるものの、再雇用制度と定年延長制度は双方にメリット・デメリットがあって、どちらかが正しいわけでもない。個々の企業としては、自社の事業の特性や人員確保の状況などを踏まえて選択することになるが、いずれにしても大きな鍵を握っているのは高度なマネジメントだということを認識しておきたい。

 人事制度の現状を確認すると、今後の方向性が見えてくる。ミドルシニアを最大限に生かすためには、働き方や処遇のバリエーションを増やす、キャリアの自己選択を求める、同一労働・同一賃金の考え方を貫く、そして多様な働き方を実現できる制度づくりが必要になってくる。

 それはどうしたら実現できるのか、先進的な企業はどのような取り組みをしているのか。人事制度改革のあるべき方向性を考えていこう。

 再雇用制度あるいは定年延長制度のいずれを選択するとしても、目指すべき方向性は同じだ。ミドルシニアの活躍において不可欠となるのは、次の3つの要素である。