同様に、「職場で困っている人がいたとき、あなたはどう動きましたか。最近の具体例で教えてください」と聞けば、他者理解や協働姿勢が言葉だけでなく行動として確認できます。短気さについても「短気だと思いますか」と自己評価で終わらせず、「感情が高ぶった出来事を1つ。自分の変化にどう気づき、どう収めましたか。後から振り返って改善した点はありますか」と掘ることで、自己認識と自己調整の質が浮かび上がります。
こうした質問を本当に機能させるには、面接官側の評価の揺れを減らす工夫も欠かせません。
候補者の語りが具体的か、感情や反応を言葉にできているか、相手視点やチーム視点があるか、結果だけでなく学びまで語れているか。少なくともこのあたりを同じ目線で見られるようにしておけば、「話し方がうまい人が得をする」面接から距離を取れます。
感情知能の評価は、性格の好き嫌いを判定することではありません。職務上の協働する力と、対人摩擦を減らす力を、できるだけ客観的に確かめるための手続きです。
最後に、感情知能を重視するほど採用の失敗は減りやすくなりますが、注意点もあります。
職種によって求められる感情知能の形は同じではありませんし、テストや面接の一発判定で決めるのも危険です。職務経歴や実績、場合によってはリファレンスなど、複数の情報を組み合わせて判断する姿勢が必要です。
そのうえで、学歴やIQを「入り口の情報」として生かしつつ、入社後の成果や定着、チームへの影響まで見据えるなら、感情知能(EI)という軸を加える価値は大きいと言えるでしょう。採用後に「なぜこの人を採ってしまったのか」と後悔しないために、見えやすい成果や学歴だけでなく、同僚と協働して成果を出す力にも目を向けていきたいところです。
【参考文献】
※1 Kidwell, B., Hardesty, D. M., Murtha, B. R., & Sheng, S. (2011). Emotional intelligence in marketing exchanges. Journal of Marketing, 75, 78-95.
※2 Urquijo, I., Extremera, N., & Azanza, G. (2019). The contribution of emotional intelligence to career success: Beyond personality traits. International Journal of Environmental Research and Public Health, 16, 4809.
※3 O’Boyle, E. H.Jr., Humphrey, R. H., Pollack, J. M., Hawver, T. H., & Story, P. A. (2011). The relation between emotional intelligence and job performance: A meta-analysis. Journal of Organizational Behavior, 32, 788-818.







