現代ビジネスにおける「弱者連合」の難しさ
翻って現代においても、業界トップの巨人に対抗するため、下位企業同士が統合して規模と競争力を高めようとするM&A(合併・買収)の事例は少なくありません。
近年では、2024年末に自動車メーカーの本田技研工業(ホンダ)と日産自動車(日産)が経営統合の検討を発表したことが話題となりました。EV(電気自動車)シフトなどで競争が激化する中、業界の王者であるトヨタ自動車や、急速に台頭する中国勢に対抗するための戦略として注目を集めました。
しかし、この協議は基本合意からわずか50日ほどで破綻を迎えてしまいます。その背景には、経営難の日産に対しホンダが完全子会社化を求めたことなど、条件面での折り合いがつかなかったことが報じられています。
「プライド」が邪魔をする時
この破綻劇には複合的な要因があると考えられますが、両社の間で「何のための統合か」というビジョンが十分に共有されぬまま、長い歴史を持つ名門企業としての「プライド」が前面に出てしまった側面もあったのではないでしょうか。
三国志の国家同盟であれ、企業のM&Aであれ、統合の目的が単に「トップ企業に対抗するため」というレベルに留まっていると、破綻するリスクが高まります。
「大義」があれば
小さなプライドは乗り越えられる
孔明の「天下三分の計」が、最終的に「漢王朝再興」という揺るぎない「大義」を見据えていた点は非常に重要です。
企業統合においても同様に、「統合によってお客様にどのような新しい価値を届けるのか」「働く社員がどのように幸せになるのか」といった未来図を具体化し、それを共通の「大義」として掲げることが不可欠です。
その大義が明確であって初めて、企業は自社の小さなプライドを乗り越え、真に意味のある統合へと進むことができます。他社との連携やM&Aを進める際、リーダーには常に問い続ける責任があります。「この統合には、単なる数合わせ以上の『大義』があるのか」。それこそが、戦略を成功に導くための鍵となるのです。
※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。















