自社株は1年後の2026年1月に支給される。副社長以下は支給日から1年間、社長は2年間、自社株を売ることはできない。これは業績に対して、役員クラスの責任経営を徹底する狙いである。
第二は、目標達成奨励金(TAI)であり、これは毎年上・下半期に各1回、事業部別営業利益において、超過して達成した部分の一部を職員に配分する制度で、最大で基本給の100%まで支給されるものである。
2024年12月に発表されたDS部門(半導体)の下半期目標達成奨励金(TAI)についてみると、2023年にメモリー事業部は50%であったが、2024年に赤字状態から脱出したことが高く評価され、設定された上限を上回る200%へ跳ね上がった。システムLSIとファウンドリー事業部は25%、半導体研究所・AIセンターなどは37.5%のTAIが支給された。
このように超過利益成果給(OPI)と目標達成奨励金(TAI)は、毎年大きく変動するが、その根拠が分かりにくい。
第三は、年間賞与の査定に適用されるEVA(経済的付加価値:資本効率に基づいて企業の収益性を評価)である。これは企業の純利益から資本コスト(投資額に応じて想定される金融費用や株主への配当金など資本を使用するコスト)を差引した収益を表す。EVAにより年間賞与が決められるが、その算定方法を知るものはだれもいない。
サムスン電子の場合、全社ではなく各事業部でEVAが算出されていると推察され、赤字の部署であっても1年間にEVAが改善されたと認められれば、年間賞与は増額され、たとえ黒字の部署であっても、前期より黒字幅が減少すれば、年間賞与は減額される、ことになる。つまりEVAは、改善の度合いを評価する手法である。
成果給制度がもたらした
ことなかれ社員の増加
こうして部署ごとに成果給が算定され、最後に個人評価が上司と部下からの360度査定により年収額は決まる。部署の評価が最高であっても、個人評価が最低の中堅社員は、その恩恵に浴することが出来ない。当然のことながら、中堅社員は上司と部下の評価を気にするあまり、どちらにも従順となる。







