長期にわたり不透明な成果給が実施されてきたことにより、一部社員にはインセンティブになるが不満も多く、組織内に問題を起こしている。

 現場から上がっている声としては、

・目前の収益最大化を目標としているため悲観論を口に出しにくく、楽観的見通しを反映した希望的観測を報告する企業文化が浸透・蔓延していること

・部門間の競争が強く意識されるため、部門間の意思疎通、情報交流が損なわれていること、このため新技術への取り組みや新製品の開発情報が部門内にとどまり、全社的に意思疎通が悪くなっていること

 などである。

 成果給制度は、目先の利益を追う姿勢が偏った人事と組織を温存させる。上司と違う見解を口にすれば、上司から叱責を受けることから「模範社員」が自己増殖し、上司と意見を異にする「反骨社員」は排斥されるという企業文化が定着していく。

 上司の顔色を窺い、気にいられることを意識して、誤った情報を上司に提供し、目先の楽観的な観測に基づく意思決定が繰り返されていく。この結果、上司と意見の合わない有能な人材は転職し、無気力な社員が増えて組織の活力を失わせる。

 ある部門で巨額の投資が行われれば、資本コストが上昇し収益は圧迫される。長期的な視点に立った巨額投資は、社員の収入を減らすため、現場の声が上がりにくく、先送りされていく。

 成果給制度は、過去の成功体験に固執し、現状に満足する企業文化を生む。独創的なアイディアや果敢な投資より、目先の安定した収益を追求する意見と安全な投資を最優先することになる。