その大半は複数の銀行口座を回して闇に消え、裁判でも行方が明らかになっていない。カミンスカスが自ら白状する仮契約時の14億円の紹介料についても同じだ。積水ハウスが地主である海老澤佐妃子に渡す売買の手付金として12億円、カミンスカスに紹介手数料として2億円を渡す約束だったという。手紙にある〈半金〉とは、2億円の半分という意味である。
積水ハウスには、仮契約時のこの14億円すら戻ってきていない。手付金の大半を手にしたと見られてきたイクタHD社長の近藤久美や会長の生田剛は本来、12億円の大半を地主の海老澤佐妃子に渡していなければならなかった。現実には羽毛田正美が地主になりすましているわけだから、仮に生田らがそれを知らずに取引に臨んだという前提なら、12億円から彼らの取り分を除くカネを羽毛田に渡さないといけない。
またカミンスカスの言うとおりなら、半金の1億円を足した残り13億円がいったん生田に渡っているのだから、積水ハウスは事件後に取り戻していいはずだ。この13億円はどこに消えたのか。
「自分は無罪だ」と主張する
カミンスカスを問い詰める
〈森さんが私をどう見たのか楽しみに待ってます〉
カミンスカスから届いた2025年4月22日付18通目の手紙は、そう括られていた。1年におよぶ長い手紙のやりとりのなかで、当人は「土井淑雄たちにされた」「羽毛田がなりすましだとは知らなかった」「積水ハウス事件で受けとったのは1億円だけだ」と何度も強調してきた。
しかし、それはまったく信用できない。冤罪だと繰り返しながら、それでいて有明のマンションに運んだスーツケースの一件(編集部注/カミンスカスは積水ハウスとの仮契約の3ヵ月後に東京・有明のタワマンの一室を購入し、多額の現金を入れた重いスーツケースを運び込んだところを怪しまれ、警察に押収されている)をぶつけると、次のように答えた。
〈土井の事務所の一部屋を私が使っていたのですが、土井が「部屋を明けて(空けて)くれる(か)」と言って来たので部屋の荷物を持って帰った時のことだと思います。運転手は大塚洋(編集部注/運び屋。積水ハウス事件では逮捕されたなかったが、別の地面師事件で服役)で、「スーツケースの中は金ですか」と聞かれた事がありました〉(2025年4月7日付書簡)







