最後は人と人の関わりがすべてを決める

 元谷氏は、『アパ代表“3倍給料払い5倍の仕事を期待” ホテル事業は航空会社を参考にした』(PRESIDENT 2018年4月30日号)において、次のように語っている。

《スタッフの能力を鍛えるためには、経験の積み重ねが必要です。ただ単にマニュアルを丸暗記するだけでは意味がありません。そのために接客スーパーバイザーといった指導員を地域ごとに設けて、先輩が後輩を育てていくというスキームを採っています。外部の専門家を呼んで研修することは、ほとんどありません。あくまで先輩と後輩の関係から仕事を身に付けることを、重視しています》

 この言葉には、今の時代が忘れかけている教育の根っこがある。便利な道具や仕組みがどれだけ増えても、最後は人と人の関わりがすべてを決めるという考え方だ。

 現代は、機械が人間の仕事を代わりにする時代だと言われる。

 しかし、ハーバード大学のデビッド・デミング准教授が2015年に発表した『労働市場における社会的スキルの重要性の高まり(The Growing Importance of Social Skills in the Labor Market)』という研究は、別の未来を教えてくれる。

 ニコール・トーレス氏がHarvard Business Reviewに書いた記事『Technology Is Only Making Social Skills More Important(テクノロジーは社会的スキルをより重要にしているだけだ)』(2015年8月27日)では、次のように紹介されている。

《1980年以降の雇用成長のほぼすべては、比較的社会的スキルの高い職業であり、高度なスキルを必要とし、自動化が困難な仕事はますます社会的適応能力を要求されるようになると主張しています。これは、分析的スキルが重要でなくなったという意味ではありません。デミングは、80年代以降、高い認知スキルと高い社会的スキルの両方を必要とする職種において、雇用と賃金の伸びが最も強かったと説明しています》