現在唯一の定期寝台列車となった「サンライズ・エクスプレス」は、鉄道好きのアメリカ人なら現在でもアムトラックの列車として走っている「サンセット・リミテッド(Sunset Limited)」(ロサンゼルス~ニューオーリンズ)を連想するだろう。
また、西武鉄道の特急「レッドアロー」は、偶然かどうか知らないけれど、かつて、スイスを走っていた真っ赤な電車と同名で、現在、ルツェルン交通博物館に本物やその模型が展示されている。
この「〇〇アロー」は海外では意外と多く、英仏海峡を介してロンドンとパリを結んでいたのはGolden Arrow(金の矢)で、国際列車として一世を風靡した。フランス国内では、Fleche d'Orというフランス語の愛称で走っていた。西ヨーロッパ最北端の駅ナルヴィクを目指した北欧の長距離列車「ノルドピーレン」は英訳すれば、North Arrow(北の矢)、デンマークの首都コペンハーゲンからスウェーデン南部を走っていたローカル急行は「クストピーレン」と言い、英訳すればCoast Arrow(海岸の矢)。
「矢」は速いものの象徴なのであろう。したがって、西武特急「レッドアロー」は違和感なく訪日外国人にも受け入れられているものと思う。
その一方で、同じカタカタ語の由来でも、英語の造語とおぼしき列車名が誕生しているのは、近年の傾向のひとつである。西武鉄道は、「レッドアロー」の後継車両として独特の風貌の特急電車を開発した。名付けて「ラビュー(Laview)」で、この英語は世に存在しない。L=luxury(贅沢)なlivingのような空間、a=arrowのような速達性、view=大きな窓から移りゆく眺望という想いを込めたそうで、言うなれば英語の造語だ。
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東武鉄道のRevaty(リバティ)も造語で、varietyとliberty(自由)に由来するそうだが、LとR、VとBの違いが判別しがたい日本人ならともかく、liberty(自由)に由来するなど、英語のネイティブ・スピーカーにとってはまず連想しない言葉だと思う。
このあたりは本来の英単語と、造語しやすい日本語スピーカーの言葉遣いの技が合わさって語感のいい列車名になっているが、日本を訪れる外国人はどんな印象を受けるのか、気になってしまう。







