長女のリウ選手がスケートを始めたきっかけは、父親の劉さんが1990年代後半から2000年代初めにアジア系米国選手として大人気を集めたミシェル・クワン選手のファンだったから。リウ選手の練習には劉さんがつきっきりになり、コーチを解雇したり、さらに彼女のトレーニングに最適な地域へと自分の弁護士業ごと移転するほどの「リンクパパ」となった。リウ選手はそんな父親にスケートで失敗すると激しく叱られ、トレーニングを強要されたと述べている。
そんなリウ選手が2022年、米国の選手として北京五輪に参加した際、当時の米国政府は中国当局による監視や接触を防ぐために、彼女に特別なガードをつけたとも報道されている。その北京五輪では7位に終わり、またそこで経験したさまざまな出来事が彼女に引退を宣言させた。
「二度と指図は受けない」――復帰を決意した反骨心
だが、それから2年後、彼女は復帰を決意。「復帰した選手で、引退前よりも良い成績を残した選手はいない」と渋る元コーチを、「彼らと違ってわたしはまだまだ若い」と説得して再びコーチを引き受けさせた粘り強さは、父親譲りかもしれない。実際に父親の劉さんもテレビのインタビューで、彼女の頑固さ、反逆精神の強さは「自分譲りだ」と笑って話していた。
ただし、彼女には1つ、復帰の条件があった。それは、劉さんからの指図を「二度と受けない」というものだ。
復帰後、彼女は「楽しく滑ること」を心がけていると語る。コルティナ五輪の演技もとにかく楽しそうで、キュートだった。さらに自分だけではない。銅メダルとなった日本の中井亜美選手を強く抱きしめ、観客に向けて「彼女がそうよ!」と言わんばかりに「紹介」してみせるそぶりまで見せた。米国のメディアは表彰台の上で飛び跳ねるリウ選手と、銀メダルの坂本花織選手、中井選手の3人が嬉しそうにハグし合う姿を、「勝敗よりも大事なガールズフッド」というキャプションを付けて報じた。
とにかく、リウ選手は見ていて「可愛らしく」「楽しげ」だ。一方のグー選手はクールな孤高の人である。どちらも自信に満ち溢れているのは間違いないが、リウ選手の可愛らしさに比べて、グー選手は堂々と自分の成績を誇示する形でその自信を表現する。実際にグー選手はかつて、ネット上で受けたヘイトに対して、こう反論したことがある。
「わたしは中国の代表として41回の世界大会に出場し、中国に39枚のメダルをもたらし、ナショナルチームに3人のコーチを紹介し、ナショナルチームにフリースタイルスキーを贈り、中国と女性のために世界に向けて声を上げている。で、ヘイターたちは国のために何をしたの?」
ぐうの音も出ないほどの「正論」ではある。中国の選手なら、たとえ内心でそう思ってはいても絶対に口にしないであろう、この自信っぷりが逆に鼻につくと感じる人たちも少なくない(グー選手は、そういう意味ではとても米国人らしい)。







