マネジャーもすべての答えを持っているわけではありません。だからこそ、「どう考えるべきか」「どう進めるべきか」について、互いに意見を出し合いながら考えることに意味があります。

 意見が合わないときは、アイデアの検証期間を設けていったん進めてみて、しばらくしてから振り返りを行うという柔軟な進め方も可能なはずです。対話の目的は、説得や議論の勝ち負けではなく、率直に意見を出し合うことで共感や合意を増やし、信頼関係を深めながら、本人の成長とビジネスにとってのベストな解を求めていくことにあるのです。

 そのためには、マネジャーの「問いかけ方」が重要です。

 たとえば「最近取り組んでいる仕事の中で、一番のチャレンジは何ですか?」と聞けば、部下はいま直面している課題を語りはじめます。「最近、驚いたことはありますか?」と聞けば、彼らがどんな視点で仕事をしているのかが見えてきます。「今後、どんなスキルを伸ばしたいですか?」と聞けば、キャリアの方向性についての会話が生まれます。

 マネジャーが適切な問いを通して部下の考えを引き出せば、部下は自分の思考を整理し、新たな気づきを得て、成長を実感できるようになります。こうした質問が、部下の思考の補助輪となるのです。

部下の気持ちを受け止めつつ
状況を詳しく確認することが重要

「毎回、部下の話を聞くのがつらくなる」「相手の要求を聞かなければならないような気がして疲れてしまう」というマネジャーもいるでしょう。

 この気持ちはよくわかります。部下が会うたびに、業務の不満や課題を語りはじめると、「何かしらの答えをすぐに出さないといけない」とプレッシャーを感じてしまうものです。

 しかし、ここで大切なのは、「すぐに解決策を出すこと」にこだわり過ぎず、「部下の話を聞き、理解すること」を優先すべきであるという点です。

 部下が「最近、仕事の負担が大きくてつらいです」と言ったとき、あなたはマネジャーとして、「じゃあ、業務量を調整しましょうか?」と解決策を提示したくなるかもしれません。