まず、多くの人が好意的に見ている理由はfluency「流暢性」の観点です。留学経験もある小泉大臣はこの点で優れており、それが評価されている理由の1つです。
次にaccuracy「正確性」の観点から見ると、使用している語彙は申し分ありません。あえて指摘すれば、やや冗長な部分があります。differences「違い」とdisagreements「相違点」はほぼ同義語なので、どちらか1つにするか、we haveを1つにまとめるほうがすっきりするでしょう。ただし、スピーキングでは考えながら言い直すことがありますから、ここは仕方ない面もあるかもしれません。
また、"I like to~"は「~することが好きだ」という個人の感想のように受け取られてしまいます。国を代表してのスタンスを示すならば"we will continue ~"とするか、"I would like to ~"などを用いて丁寧にした方が良いですね。
外交のセンシティブな問題に触れる際は、流暢性はともかく、通訳者が正確に訳すことやプロの目でより完成度を高めた言葉を使ったほうが良さそうです。日常会話では流暢に話せても、専門的な交渉にはやはりチームのサポートが必要ということになります。
「コロケーション」という観点と、英語力の総合評価
さらに、一般的にはあまりなじみがないかもしれませんが、「コロケーション」の観点も重要です。コロケーションとは言葉同士の自然な結びつきのことを言います。日本語でも「恐怖におののく」「舌鼓を打つ」など相性の良い言葉があるように、英語にもあります。
小泉氏の発言中“we are always welcome to the dialogue”という表現がありますが、ここでは“remain open to dialogue”(引き続き対話の用意がある)などのコロケーションがより自然です。ただし、相手には伝わっていますし、content「内容」の側面は評価されています。日本が中国との対話の姿勢を持っているという「メッセージ」に世の中の共感が得られた点が、この英語メッセージが「素晴らしい」と拡散した要因かもしれません。







