働き方改革の対象に
管理職は入っていない
ところが2016年に入ると安倍首相が「働き方改革」を掲げて、それまで見向きもしてこなかった時間外・休日労働の上限規制に急速に舵を切っていきます。その過程の詳細は省略しますが、同年10月に電通の新入女子社員高橋まつりさんの過労自殺が労災認定されたというニュースが飛び込んできたことが、上限規制の導入を後押ししたことは確かなようです。
翌2017年3月28日の「働き方改革実行計画」には、時間外労働の原則の上限を月45時間、年360時間とし、例外を年720時間としつつ、さらにその例外として時間外・休日労働の上限を単月100時間未満、2~6カ月平均で80時間以内とするという規制が盛り込まれました。
その後、高度プロフェッショナル制度との合体をめぐって紆余曲折が続きましたが、2018年6月29日に可決成立し、同年7月6日に公布され、大企業には翌2019年4月から、中小企業は2020年4月から施行されました。
なお、建設業、自動車運転手及び医師については5年間適用が猶予され、2024年4月からやや緩い規制が適用されています。
この改正は、日本の労働法制史上初めて成人男子まで含めた労働時間の絶対上限を導入したという意味で画期的なものであるだけではなく、私がかつて孤立無援で主張していたことが法改正の本丸にまで出世したという意味でも、まことに感慨深いものでした。
しかし、そこには大きな忘れ物があったのです。
働き方改革関連法による労働基準法の改正は、具体的には時間外・休日労働協定を定めた同法第36条に前述の上限規制の条項を加える形で行われました。
つまり、既に労働時間規制の対象となっている労働者に対して、青天井であった時間外・休日労働に上限規制を新たに導入したのであって、これまで労働時間規制の適用外であった管理監督者については、これらの上限規制は一切適用される余地はありません。
もちろん、それは法律の建付け上当然ではあるのですが、そのことが多くの企業で管理監督者として扱われている膨大な数の管理職たちに、思わぬ影響を与えることになっていきます。







