部下が休んだ分のしわ寄せが
管理職に押し寄せることに
働き方改革から放置された管理職たちの働き方はどうなっているのでしょうか。労働政策研究・研修機構(JILPT)の池添弘邦・高見具広らの研究グループは、2019年から労働時間に関する調査研究の一環として、管理職の働き方や働き方改革への対応についてのヒアリング調査や、大規模なアンケート調査を実施し、その結果を公表しています。
そのうち、JILPT調査シリーズNo.222『働く人の仕事と健康、管理職の職場マネジメントに関する調査結果』(2022年)のデータ(編集部注/自営業者等を除く20~65歳の男女の、週所定労働時間が35時間以上の者を調査。調査対象は、一般社員から役員相当、従業員規模9人以下から1000人以上と、多岐にわたる)をいくつか見ておきましょう。
まず、プレイング・マネージャーたちがプレイングとマネジメントにどれくらい時間を割いているかを役職別(ライン職)に見ると、図8のように部長相当でほぼ半々、課長相当ではプレイングの方がやや高いことが分かります。
同書より転載 拡大画像表示
そして、プレイング業務に使う時間が「足りている」の比率は課長相当が最も低く、「やや足りない」「全く足りない」は課長相当が最も高いのですが、マネジメントに使う時間が「足りている」の比率もまた課長相当で最も低く、「やや足りない」「全く足りない」も課長相当が最も高くなっています。
『管理職の戦後史 栄光と受難の80年』(濱口桂一郎、朝日新聞出版)
要するに、日本の課長たちはプレイングとマネジメントの両方を背負わされ、どちらも時間が足りないと悲鳴を上げているわけです。
働き方改革がめざした時間外・休日労働の削減という目標自体は正しいものであったはずです。
しかしながらそれが企業現場では、部下の残業を減らすための管理職の業務負荷を高める方向に作用し、さらに部下の仕事を管理職が引き取る形で管理職の業務量を増やす結果をもたらしているとすれば、「管理職にとって働き方改革とは何だったのか」と問わざるを得ません。
「罰ゲーム」とか「無理ゲー」といった言葉が管理職をめぐって飛び交うようになった背景にあるのは、こうした企業現場の実態であったのです。







