メーカーの採用力 待遇・人事の真実写真:NOK提供

自動車部品大手のNOKは、2024年に新人事制度を導入した。年功序列色の強かった旧制度を抜本的に見直し、「大卒3年目課長」も可能とした。新制度導入から1年が経過し、「飛び級で年収50%アップ」の事例も続出中だという。連載『メーカーの採用力 待遇・人事の真実』の本稿では、NOKの新人事制度を大解剖した。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

元ブリヂストン人事トップ江上氏を招へい
CHROに据え、グローバルで人事改革を断行

 産業界に欠かせない“黒子”が、人事制度改革を断行中だ。

 NOKは、自動車エンジンのオイルシールで国内シェア7割、国産ロケットのエンジンに組み込まれているメカニカルシールではシェア100%を誇る。カメラやスマートフォンに使用されるフレキシブルプリント基板では世界3位の売り上げとなっており、産業界の黒子ともいえよう。

 そんなNOKが、新人事制度を導入したのは2024年。4月に管理職向けに、10月に非管理職向けに新制度を導入した。同年6月には全社の組織改編を行うとともに、新たにグループCHRO(最高人事責任者)を設置した。

 人事制度改革のけん引役としても招聘したのは、三菱ふそうトラック・バス、サトーホールディングス、ブリヂストンの3社で人事部門のトップを務めた江上茂樹氏だ。江上氏は24年1月に入社し、同年6月より、初代CHROに就任した。

 江上CHROは、入社当時のNOKの印象について、「良くも悪くも、古き良き製造業。人的資本経営をはじめ、世の中の潮流についていこうとしているものの、少し遅れていて、空回りしていた」と振り返る。現在、江上氏をCHROに据え、グローバル規模で人事改革を断行している。

 日本では新人事制度の導入から1年が経過した。「飛び級で年収50%アップ」の事例も続出中だという。一体どのような制度設計となっているのか。

 次ページ以降では、NOKの新人事制度を飛び級の実例と共に大公開する。“大卒3年目課長”も可能となっている。一方、「新制度ならではの課題」も浮き上がってきた。一体何か。

図表:NOKの新人事制度での社内等級と飛び級事例(サンプル)