運賃水準が大幅に上昇する期待も
トラックの適正原価制度はまだ不透明
――トラック適正化二法が昨年成立し、約2年後には「適正原価制度」がスタートします。これによって運賃水準が大幅に上昇する期待が高まっています。
鎌田 適正原価制度によって、例えば東京~大阪間を走る10トン車の運賃が現行の8万5000円~9万円から12~13万円に引き上げられる――これは良く分かりますし、ありがたい話です。
しかし、われわれが請け負っているスーパーやドラッグストアの物流業務の多くは料率で運賃が決まる商習慣になっています。センターの通過額の何%という形で運賃が決まる仕組みであり、そこに適正原価制度を適用できるかは、はなはだ疑問です。
また、メーカーであれば価格転嫁によって運賃上昇を吸収できる余地がありますが、個人消費者を相手に商売をしている小売など川下系企業では価格転嫁にも限界があります。仮にこの分野で大幅に運賃が上がるようになれば、卸や小売は自分たちで運送をやるという流れになりかねません。
――卸や小売が自家用の白ナンバーで自社の荷物を運ぶことに徹するということですね。
鎌田 白ナンバーであれば適正原価制度の規制がかかるのか、かからないのか――。そのあたりの制度の詳細がまだ不明で、いまのところ誰に聞いても明確な答えが返ってこない状況です。
アクティビストは資産を有効に使っていない会社に
狙いを定めて株を買い占めている
――物流業界ではいま、投資家やアクティビストからのプレッシャーもあってMBO(経営陣による自社買収)による上場廃止が増えているほか、不動産売却などによる資本効率経営が加速化しています。ある意味、SBSグループが志向してきたビジネスモデルに時代が追いついてきたとも言えます。
鎌田 そもそも歴史の長い大手物流会社の多くは「家賃」を払うという感覚が希薄です。昭和の時代に買って減価償却が終わった倉庫や配送ターミナルをタダ同然で使い、お客に安く貸すことで商売を成り立たせてきました。償却済みの土地の資産はBS(貸借対照表)の左側(資産の部)に安い簿価で載っているだけで、右側(負債の部)には来ませんので、そうした経営が可能になるわけです。
しかし、本来から言えば、高い価値を持っている資産を安く貸していること自体が経営として健全ではありません。アクティビストはそういうことが分かっているので、資産を有効に使っていない会社に狙いを定めて株を買い占めている。それがいま、物流業界で起きていることです。
これに対し、SBSグループの場合は、土地や物流センターをすべて流動化し、家賃を払って生計を立てる仕組みで最初からやってきました。われわれには土地や倉庫を保有して、償却が終わったら儲かるというような発想はまったくありません。







