図1・雇用形態別雇用者数 1984年~2024年(a)男性(b)女性同書より転載 拡大画像表示

 このように女性の非正規雇用者の数が増える一方で、2015年以降は女性の正規の職員・従業員数も同時に増加傾向にあることも注目に値する。この正規雇用者と非正規雇用者の両者の増加傾向により、女性においては、顕著な二極化傾向が観察される。

 一方で、男性の雇用者数自体は安定的な推移をしているが、雇用形態に注目すると、女性とは異なる傾向が見てとれる。つまり、男性においては、この期間を通して、非正規雇用者の増加と正規雇用者の減少が同時に観察されるのだ。全体の雇用者数にそれほど大きな変化がないため、非正規雇用者割合が上昇するなど、男性雇用者の雇用形態の構成には確かな変化が見られる。これは、男性正規雇用者の非正規化や近年の非正規男性雇用者の増加を反映したものと言える。

女性の賃金格差に
大きな変化が見られない理由

 ここまでで、1984~2024年の期間中、女性におけるパートの増加が特に顕著であることがわかった。次に、この傾向が、賃金率の格差にどのように影響したかを見ていく。賃金率とは、ボーナス、残業代を含む総賃金を残業時間も含む全労働時間で除した値、つまり1時間あたりの賃金に該当する概念である。

 筆者らの共同研究によると、女性のパート雇用者の労働供給の増大が、中間層の賃金率の減少につながった(Yokoyama et al., 2016a, b;Yokoyama and Kodama, 2016)。一方で、特に高賃金層での高学歴化と賃金率の上昇幅(リターン、収益率)の増加や、低賃金層での潜在経験年数(社会人になってから経過した年数)のリターンの増加も同時に起こった。すると女性全体の賃金率を見たとき、低賃金層と高賃金層では賃金率が上昇する一方で、中間層ではパート雇用者の供給増加によって賃金率の下落が起こったことになる。