具体的には、企業が為替レートの急な変動(ショック)に対して、間接雇用を含んだ雇用、ならびに賃金などをどのように調整するかを、労働者の雇用形態ごとに分析した。
例えば、急激な円高は、特に輸出企業には海外での営業活動などに不利に働き、業績に負の影響を与えるため、為替レートの変動による影響は企業の輸出(輸入)シェアによって異なる。そのアイデアをもとに、輸出シェアの大きさごとに、為替レートの変動が派遣労働者の雇用に与える影響を示したのが図3である。
黒色の実線は実質実効為替レートで、この値が高いほど円高であることを示している(実効為替レートとは、特定の2通貨間の為替レートを見ているだけでは捉えられない、複数通貨の動きを考慮した、グローバル市場全体における通貨の総合的な実力・対外競争力を表す指標のことである。そのうち、物価変動の影響を除いたものを実質実効為替レートと言う)。破線は輸出企業の1社あたり平均派遣労働者数であり、灰色の実線は非輸出企業に該当する。
この図を見ると輸出企業においては、円高になると派遣労働者数が減り、円安になると派遣労働者が増えるという関係があることがわかる。つまり、円高になると、日本の輸出品の価格が上がる傾向にあるため輸出品の売れ行きが悪くなり、売上高が減少する。その結果、輸出企業は派遣労働者を減らす一方、円安になると売上高が増加するため、派遣労働者を増やす傾向にある。一方で、そのような傾向は非輸出企業においては見られない。
同書より転載 拡大画像表示
非正規でなおかつ間接雇用の
労働者が不況期の調整弁に
図3では、実質実効為替レートと派遣労働者数の関係性を見ているだけであり、為替レートのショックが派遣労働者数を変化させたという因果関係を示す厳密なエビデンスとはなっていない。







