
1世紀にわたり実質賃金が全く上がっていないのは、近代以降の先進国では日本だけだ。不十分な賃上げと非正規雇用の固定化により、日本は「貧しい国家」に成り下がりつつある。特集『大企業が賃金を収奪!「階級社会」の不幸』の#10では、気鋭のトップエコノミスト、BNPパリバ証券の河野龍太郎経済調査本部長に、日本の賃上げが不十分なまま放置されている理由について解説してもらった。(ダイヤモンド編集部編集長 浅島亮子)
>>河野龍太郎・BNPパリバ証券経済調査本部長(チーフエコノミスト)インタビュー【前編】『日本国民は収奪されている!気鋭のトップエコノミストが「賃金が上がらない理由」を解説』から読む
大企業経営者は勘違いしている!
労働者への還元はまだまだ不十分
──今年の春闘でも満額回答が相次いでいます。大企業経営者は、自社の実質賃金は十分に増やしており、労働者にしっかり還元しているという認識なのではないでしょうか。
大企業経営者は、生産性の高い自社の実質賃金は着実に増えており、賃上げができないのは生産性の低い中小企業の問題と勘違いしています。