私は今も、日々、新しく何かを知ることを経験していますが、子供の頃には、今よりもわからないことがもっとたくさんありました。
子供の頃にわからなかった
英単語の発音の仕組み
今も覚えているのが、小学生の頃に父親が買ってきた英語の絵本を読んだ時のことです。英語はアルファベットを並べて「teacher」と書き、それを「ティーチャー」と発音します。「ティ、イー、エー、シー、エイチ、イー、アール」とは読みません。
それまで習ってきたひらがなやカタカナは、「あ」と書いてあれば発音も「あ」です。なぜ同じ文字なのに、読み方が違うのだろうと頭を悩ませました。
年を重ねる段階のどこかで「そうか、英語は1つひとつの文字ではなく、組み合わせによって発音が変わるのか」と理解しました。おそらくローマ字を習った4年生か5年生の頃でしょう。
よくよく考えてみると、日本語というのはとてもよくできています。
ひらがな、カタカナはそのまま発音することができ、漢字は文字によってその意味するところを表します。
これの何が便利なのか。言語学者の金田一春彦さんが、こんな例を挙げていました。金田一さんがアメリカに行って温度計を買おうとした時に、「thermometer」と言っても店員さんに通じなかったそうです。店員さんが「thermometer」という単語を知らなければ、紙に書いて示してもやはり通じないでしょう。
しかし日本語の場合は、温度計と書けば仮にそれそのものは知らなくても「温度を計る」ものであることはわかります。一目でその意味するところがわかるのが、漢字の素晴らしいところなのだというのです。
もう1つ例を出せば、自動車は英語でcar、駐車はparkingと書く。しかし日本語なら「駐車」という単語を知らなくても、それぞれの漢字を知っていれば「車を駐とどめる」ことなんだとわかります。
金田一さんの本を読んだ時に、子供の頃の英語が読めなかった経験を思い出しました。こうして知識が回り回ってつながることも、やはり「わかる」快感を呼び起こすのです。







