「わからないことを知りたい」
欲求が原動力に

 私は小学6年生の時に、『続 地方記者』(朝日新聞社編/朝日新聞社)を読んだことで、「地方で働く記者になるぞ!」と決意しました。

 全国紙である朝日新聞が全国に置く支局で、特ダネを抜いたり抜かれたり、警察よりも先に殺人犯に行き当たる記者たちの奮闘や、淡い恋物語まで語られていて、じつに面白く、「将来、地方で働く新聞記者になるぞ!」と志したのです。

 さらに大学時代にあさま山荘事件をテレビが中継しているのを観て、「これからの時代は新聞よりもテレビの時代かもしれない」と感じ、「テレビ局の中でも全国に放送局のあるNHKに入局すれば、地方記者になるという夢が叶うぞ」と考え、試験を受けました。

 そこからの悪戦苦闘の一端は前章でもお話しした通りです(編集部注/本書の前項)。その後、NHKを退社してからは、ますます予想だにしない人生を送っています。取材をして本を書こうと思っていたところ、民放から声がかかり、さらには大学から声がかかり、現在の私の仕事が成り立っています。

 私にとってはどんな仕事も、つまるところ世界にはわからないことがたくさんある、だから知りたいという欲求から始まっているような気がします。

 NHKを退社してすぐに中東調査会に個人会員として入会し、イランに飛んだのも、「イランという国がわからない、だから知りたい」という強い動機があったからでした。

 それまで考えもしなかった「知らなかったこと」が向こうから飛び込んでくることもあります。

ピースボートに乗船して
知った意外な客層

 ある時、ピースボートの運営会社から、「乗客向けに、国際情勢を解説する授業をしてもらえませんか」という依頼を受けました。「講演料は出せませんが、無料でピースボートに乗船できます」というのです。船上ではいろいろな催しが毎晩予定されていて、乗客を飽きさせない工夫が凝らされているのです。

 これはいいぞと依頼を受けてみると、思わぬことを知ることになります。

 ピースボートの乗客といえば、国際貢献や世界旅行に興味のある若い学生を思い浮かべると思いますが、実際に行ってみると、じつに半分以上が定年退職した老夫婦だったのです。