【解説】最高司令官の衰えを防ぐ「攻めのメンテナンス」

身体の健康を保つ努力が素晴らしいからこそ、次に取り組むべきは「脳の老化を防ぐ」という明確なアクションです。「歳だから物忘れも仕方ない」と諦める必要はありません。

最新の脳科学では、脳の神経ネットワークは年齢に関係なく、新しい刺激によって強化・再構築できることがわかっています。最高司令官をいつまでも健やかな状態に保つための「攻めのメンテナンス」を、今日から日々の生活に組み込んでいきましょう。

身体と脳を同時に鍛える「デュアルタスク」の魔法

では、具体的にどうすれば脳の司令塔としての機能を維持できるのでしょうか? 日常に簡単に取り入れられて効果が高いのが、身体を動かしながら同時に頭を働かせる「デュアルタスク(二重課題)」です。

例えば、毎日のウォーキングの際に「100から3ずつ引き算をしながら歩く」「しりとりをしながら歩く」といった具合です(もちろん歩行中の安全には十分配慮してください)。足腰(兵士)を鍛えながら、同時に脳(最高司令官)に複雑な指令を処理させることで、脳への血流が劇的にアップします。単なる運動よりも、認知機能の低下を防ぐ強力なトレーニングになるのです。

「心が動く体験」が健康寿命のタイムリミットをなくす

さらに意識したいのが、「感情の動き」による脳への刺激です。脳はルーティンワークやマンネリを嫌い、新しい発見や感動を最高の栄養にして若々しさを保ちます。

いつもと違う道を通って買い物に行ってみる、新しい趣味に挑戦してみる、あるいは気の置けない友人と笑い合う。こうした日常の小さな「ワクワク」や「ドキドキ」が脳内にドーパミンを分泌させ、意欲や記憶力を高めてくれます。

屈強な兵士を育てる習慣に、最高司令官が喜ぶ知的な刺激をプラスすること。その両輪を回し続けることこそが、最期まで自立して人生を味わい尽くすための、最も確実な近道となるはずです。

今日からぜひ、脳を喜ばせる小さな習慣を一つ、始めてみませんか?

※本稿は『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。