ホンダから2台を借り出して、フェル号ハイエースの荷室に並べて積んだ。トランポ仕様に改造したフェル号の床にはアルミの縞板が敷き詰めてあり、気兼ねなくバイクを積むことができる。河川敷の駐車スペースまで運び、周辺の土手と住宅街、更には幹線道路を走る。走行距離を稼ぐ試乗ではなく、同じ場所、同じ速度域、同じタイミングで“差分”を抽出する。
フェル号ハイエースに2台積みした様子。見た目はほぼ同じでも、新基準原付のLiteは白ナンバーで、原付二種のスーパーカブ110はピンクナンバーになる Photo by A.T.
低速の気持ちよさはLite、余裕の走りは110
まずはLiteから。エンジンを掛けて走り出す。河川敷の駐車スペースから土手沿いへ出るような、ごく低速のストップ&ゴーで最初に効いてくるのは出だしの加速感だ。Liteの最大トルクは3750rpmと、バイクとしては比較的低い回転数に置かれているので、アクセルを少し開けたところから押し出し感がある。回転が上がり切る前に車体が前へ転がり始めるので、これが“低速域での気持ちよさ”につながっている。レスポンスも悪くない。
それにしても軽い。車両重量はわずか101kg。私が山に入る際に乗る軽量エンデューロバイクの半分以下の重量だ。なんならハンドルをエイヤと持ち上げて方向転換することさえできる。ブレーキの効きもいい。
低い回転数で最大トルクを発揮するLiteはストップ&ゴーの多い街中で楽に走ることができる。ちなみに新基準になっても法定最高速度は30km/hだ Photo by A.T.
スーパーカブ110に乗り換える。おや。
出だしが鈍いわけではないのだが、Liteと同じ開度で同じように開けた際の「最初のひと押し」が思ったほど強くない。その代わり、スロットルを開け増しする余白が残っている。最大トルクが5500rpm、最高出力が7500rpmと、Liteと比べると“回す”設定なので、「足すと増える」方向の反応が明確だ。同じ道を走っていても、110は右手で速度をつくる自由度が広く、Liteは“最適解”が狭い範囲に閉じ込められている印象だ。
また、交通の流れに乗った後の「追い足」に大きな違いがある。河川敷を離れてクルマの流れが速くなり、「ここからもう一段」という局面で、アクセルを足せば足した分だけ速度が付いてくる。回転が上がっても“まだ奥がある”ので、流れに合わせる動作がスムーズだ。Liteで同じように開けていくと、ある回転域から極端に増分が薄くなっていく。
原付二種のスーパーカブ110は、道の流れに乗った後でも、加速したいときに乗り手の意思を受け止めてくれる余裕がある Photo by A.T.







