このため、リーマン・ショック以降に次々と流入している「その他の世帯」の多くが、景気が回復しても滞留することになったのです。
生活保護から抜け出すと
生活レベルが落ちてしまう
「出にくい」仕組みの最たるものは、生活保護受給者が自立に向けて働きだすと、働いて得た所得が収入認定され、生活保護費が減額される仕組みになっていることです。
生活保護費は、最低生活費から、労働所得などの認定された収入を差し引いた金額が支給されます。正確には勤労控除として経費分程度の金額が手元に残ることになっています。このため、働いて得た労働所得の全てが、生活保護費の削減で相殺されるわけではありませんが、手元に残る金額はわずかです。
例えば、生活保護費が月額20万円の受給者が、働いて月額20万円の労働所得を得た場合、認められる勤労控除は3万3600円です。
手取り所得は、20万円(生活保護費)+20万円(労働所得)-20万円(生活保護費減額)+3万3600円(勤労控除)で、23万3600円となります。これは、時給1000円の仕事をしても、実際には時給168円(控除率は16.8%、“限界税率”は83.2%)になってしまうということですから、稼働能力層の人々も、なかなか働こうという気にならないでしょう(注1)。
さらなる問題は、それでも何とか働いて生活保護から脱却した場合に、生活保護にとどまるよりもむしろ生活水準が下がってしまう可能性が高いことです。
生活保護費は、ほとんどの生活費や必要経費を過不足なく支給してくれます。医療費も介護費も無料です。さらに、生活保護に連動して無料となる各種サービスがあります。例えば、認可保育所の保育料は生活保護世帯の場合はほぼ無料ですし、NHKの受信料等も無料となります。水道・下水道料金も減免されます。
(注1)ただし、月額1万5000円程度までの労働所得であれば、全額が勤労控除として認められます。つまり、元の生活保護費が20万円で、労働所得が1万5000円であれば、両者を合わせた21万5000円が手取りの収入となります。しかし、それ以上労働する場合には、追加的に認められる勤労控除が低く、だんだんと控除率が下がっていく仕組みとなっています。







