背景には企業の社会的な責任として「地球環境のために何かしなきゃいけない」という空気がありました。バイオ、サーキュラーエコノミー、SDGs、CO2削減。日本の大企業はほとんど何らかの環境問題に取り組んではいますが、「果たしてこのままでいいのだろうか」という漠然とした問題意識が根底にあったのだと思います。

 そうした企業が賛同してこのコンソーシアムができたわけです。みんなで2000ヘクタールのサプライチェーンを構築してからプロジェクトをスタートしたともいえるでしょう。

 MATSURIには現在128社が参加していますが、単に名を連ねているわけではありません。年間30件から50件程度の個別の研究開発プロジェクトが動いています。

 また定期的に勉強会などを開催することで、参加企業同士の連携も生まれ、藻類にとどまらず、新たな分野においてもさまざまな研究プロジェクトが生まれています。

MATSURIのOPEN・CLOSED戦略MATSURIのOPEN・CLOSED戦略(画像提供:ちとせグループ)
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知財の核心は「線引き」にある
2軸で整理しながら個々に対応

――ちとせ研究所の知財戦略の核心を教えてください。

藤田 特許にするしないを、発明の性質とビジネスモデルに鑑みながら、1個ずつ決めていくことです。一番重要なことは「線引き」です。

 そもそも特許にすると公知になってしまうため、模倣されるリスクがある。特許庁が取り締まってくれるわけではないですから、たとえ怪しいと思ったケースがあっても自分で証拠を探して訴え出なければいけません。

 ですから、何の技術のどの部分を公知にするのかについては、すごく考えないといけない。

 誰にも知られたくない技術は、特許化しないことで守る。その一方で、特許で守っていない技術には誰も投資してくれないですし、取引の相手も「その技術は本当に守られているのか」と不安になるかもしれない。ですから、どこを公知にするべきなのかの線引きについては、すごく考えています。

 それに加えて共同研究になると、相手の要件や組織事情といったものが加わってくるので、単純な理屈だけで決められないことも多い。