一つずつ相手の担当者とすり合わせをしながら、最終的なビジネスモデルから逆算して、知財の種類ごとに状況を整理し、発明ごとにどうするのかを決めていくしかない。簡単に「こうです」と言える話ではないです。
――知財にも複数の戦略が必要というわけですね。どういう分類で考えているのでしょう。
藤田 大きく言うと、軸が2つあります。
一つ目は、「我々単独」なのか、「共同開発の結果」なのか、「パートナー企業の技術を使わせてもらっている」のかといった軸。
藤田朋宏代表取締役CEO
もう一つの軸は、知財の“タイプ”です。例えば、培養設備のような装置の特許、藻を加工する設備の特許、油を取る精製加工の特許といったハード寄りのもの。もう一つは、肥料成分をどういう形状で、どのくらいの頻度でどうやって入れて、どう収穫するかといった運用方法の発明、いわゆるノウハウ寄りのもの。さらにセンサーやデータ処理、解析などソフトウエア的な知的財産もある。
この2軸の組み合わせで、「ここは特許にする」「ここは出さない」「ここは共同なので相手企業と調整する必要がある」という判断を、ケース・バイ・ケースで1個ずつやっています。
企業組織において知財部門は
戦略部門のトップにいるべき
――ちとせ研究所の知財部門の体制はどうなっていますか。
藤田 知財部門のトップは代表取締役COO(最高執行責任者)の釘宮理恵です。彼女の直下で、藻類、細胞、菌株などといった分野ごとの責任者が知財担当を務めている。事業の責任者が知財を担当しないと、「これは出願する」「これは出さない」といった判断ができないからです。
研究者が「これはいい発明なので特許を書いてください」と言って、法務部が言われた通りに手続きをするといったことはあり得ません。研究開発型ベンチャーである当社の知財部門は、戦略部門のトップに近い位置付けにしないと回らないですね。
――BtoBビジネスでの守秘義務を厳密に運用してきたことが、MATSURIの信用につながった部分もありますか。







