藤田 そうですね。冒頭にも話したように、当社は多数のクライアントと共同研究を行ってきました。共同研究をするには、先方が極秘とするコア技術を聞かなければなりません。ですから、守秘と知財については特に精緻にやってきた経験値と信頼関係があります。
逆に言うと「ちとせ研究所はきちんと秘密を守る」「ベンチャーだが知財管理の水準が高い」という信用があったからこそ、MATSURIにも最初から三井化学や三菱ケミカルといった大手企業に入ってもらえた面はあると思います。
「次の時代」を生み出すために
産業構造を設計し直す
――最後に、MATSURIの将来展望を教えてください。
藤田 先ほども申し上げたように、今やMATSURIの対象は藻類だけではありません。年間で数十件の個別プロジェクトが動き、現在は微生物を基盤とした循環型農業、未利用有機廃棄物の資源化、センサーやAIを活用したバイオプロセス管理などへと広がっています。
研究所内で培養されるさまざまな種類の藻類
例えば、食品加工工場から出る有機廃液や農業残渣を資源と捉え、微生物で処理して農業へ循環させる取り組みは、すでに事業として拡大フェーズに入っています。藻よりも一足早く、東南アジア各国のマーケットで売り上げを伴いながら広がっている分野です。
また、培養管理やプロセス制御に関するAI・センサー技術も、今後の基盤になります。大量生産を前提としたバイオ産業では、データ管理と最適化が不可欠だからです。
MATSURIは単なる藻のコンソーシアムではなく、微生物を基盤とした新しい産業構造を設計するプラットフォームへと進化しつつあります。
最終的に目指しているのは、「石油に依存しない産業構造をどう設計し直すか」という問いへの一つの解です。
「2000ヘクタールを成立させる。その単位を複製可能にする。そして微生物を基盤にした循環型の産業を拡張していく」
MATSURIはそのための仕組みです。成功するかどうかは、正直まだ分かりませんが、産業を設計し直すという発想なしには、次の時代は来ないと思っています。







