藻を育てるため、まず作物を育てる。そこに大量の水や農地が使われるだけでなく、人間の食糧との競合という課題もあります。さらに糖を精製して藻に食べさせるという変換を行います。そのたびに多くの二酸化炭素が排出されます。

藻類の生産方式の違い(画像提供:ちとせグループ)
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 確かに藻類は糖を与えれば比較的簡単に育ちますが、環境という観点から見れば本質的とはいえないのではないでしょうか。

 我々が2000ヘクタールで14万トン生産することを目標ではなく、藻による産業転換を行うための最小限の運用条件としているのも、藻の生産を事業として成立させるため、そしてLCAの観点で十分に「環境にいい」といえる状態を作るという目的で試算した結果なのです。

 藻から生まれるさまざまなアイテムを効率的に製品化し、環境にも経済にもプラスとなる状況で活用するにはそれだけの広さが必要となる。

 2000ヘクタールは4.5km四方の正方形くらいの面積ですが、非常に大規模ですし、およそ2000億円の投資が必要になる。当社1社ではその資金調達はとても難しい。

 資金面だけではありません。2000ヘクタールで生産された14万トンの藻から生まれる油や成分は、ジェット燃料、樹脂、塗料、食品素材など、余すところなく使う構造にしなければ成立しません。そのため最初から複数の産業プレーヤーを巻き込む必要があったのです。

128社が動く実働型コンソーシアム
「MATSURI」が描く未来

 当初は、エネルギー、化学、食品、化粧品メーカーなど、藻を原料として使用することに興味がありそうな多数の企業に「藻由来の原料を一緒に開発していきませんか」と声をかけていきました。

 もちろん先ほど述べたサステナビリティーの意義も伝えました。その結果、参加企業それぞれが自社の事業として藻由来の製品化を目指す、共同開発の集合体ともいえる「MATSURI」ができたのです。