――ご著書の中で「日本のような巨大地震の発生が予想される国で、原発再開というのは余りに世界に対して無責任だ」と述べておられました。日本国内の放射能汚染に目を向けがちな私たちには新鮮な視点です。この点をもう少し詳しく教えていただけますか?

 福島の被曝は日本人にとっても大きな損害ですが、「地球を汚した」という点においてはチェルノブイリと同様です。日本人には「被害者意識」はありますが、「地球を汚した加害者としての認識」はほとんどないように思われます。もし福島原発のメルトダウンがもっと大規模に起こっていたら、日本全体が居住できないような状況になったでしょうが、太平洋、また隣国も大きな被害を受けたでしょう。また東日本大震災の瓦礫はハワイ、アラスカ、アメリカ本土西海岸に大量に漂着しました。

 生物への影響は未だ把握できていません。把握する努力も十分には為されてないでしょう。

 上記の安倍首相の原発セールスマン行脚などは、こうした被害者であると同時に、加害者でもあるという、加害者責任感が全く欠如しているからできる行為だと思います。

「安全神話」を作って、原発を推進し、今回の事故を招いた加害者責任は、東電の元役員以外、誰もとっていませんが、「加害者」は旧自民党、旧通産省、経済産業省、御用学者含め、たくさん居ます。彼らは責任を追及されるどころか、安全神話の復活を狙っています。

 日本人がこの責任を追及しなければ、世界の人々、総ての生物に対する責任を果たしていないということになるのではないでしょうか。

次回は7月11日更新予定です。


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