はじめてのジェラート作りに挑戦
しかし……

 そんなに忙しくもなかったので僕はレジ打ちに専念し、ジェラート作りは店長さんかバイトさんがやってくださっていたため、ここまで僕はジェラート作り経験ゼロ。「1人減ったから、今度こそ僕がジェラートを作るんだろうな」なんて思っていたら、お子様を連れた夫婦のお客様が来店しました。

 50代ぐらいのお父さんが関西弁混じりで「ジェラート、もらうわ。シングルでりんご。あとダブルでピスタチオとパッションフルーツ」とご注文。「わかりました。あわせて1100円です。お支払いはPayPayですね。こちらのコードで決済お願いします」とご案内し、決済まで完了させた僕。店長さんは他のお客様のコーヒーを作っているので、ジェラート作りのチャンスです。

 レジ対応でご注文内容があやふやになっていたので「シングルでパッションフルーツ、ダブルでピスタチオとりんごでしょうか?」と念の為に確認したところ、「違う違う! シングルでりんご。ダブルでピスタチオとパッションフルーツ!」と強めに返答されました。「失礼しました。今、お作りしますね」と言いながら、はじめてのジェラート作りスタートです。

 ジェラートはショーケース内の容器からアイスクリームディッシャーですくい、カップに入れてお客様にご提供します。味が混ざらないようにそれぞれの味ごとに使用するディッシャーが決まっており、まずはピスタチオをカップに盛り付けました。続いて、別のディッシャーを手に取り、パッションフルーツをすくってピスタチオの上に乗せていきます。

 実は僕、これまでジェラート作りをしてこなかったせいでショーケース内のどこにどの味のジェラートが配置されているのか、ちゃんと把握していませんでした。僕から見える範囲内にどれがどの味かがわかるような表示もないため、これまで店長さんなどが作っていた様子を思い出しながら「たぶんこれがパッションフルーツかな?」と思ってすくいました。

 しかし、残念ながら僕がすくったのはりんごのジェラート。その様子を見たお客様から「おい、それはりんごやろうが! 俺が頼んだのはピスタチオとパッションフルーツ! どうなってんの!?」と厳しいツッコミが入ります。

 この時点でかなり動揺してしまっていた僕。「失礼しました!」と謝りつつも、今度はそのりんごをすくったディッシャーでパッションフルーツをすくってしまう失態をおかしてしまいました。