「クッション言葉」という心づかい
特に、あまり親しくない相手にお願いをする場合には、本題にいきなり入らないことが大切です。
「突然のお願いで恐縮ですが」「ご多用のところ大変恐れ入りますが」「差し支えなければ」――こうしたクッション言葉は、単なる形式ではありません。相手の心に、受け止める準備の時間をつくる働きがあります。ワンクッション置くだけで、心理的な抵抗感は和らぎます。ただし、クッション言葉だけでは十分ではありません。大切なのは、その後に続く“感謝の言葉”です。
「感謝される未来」に心が動いていく
私が特に大切にしているのは、「助かります」「ありがたいです」という言葉です。
たとえば、「ご対応いただけますと大変助かります」「もし可能でしたら、ご教示いただけますとありがたく存じます」という表現です。
この「助かります」「ありがたいです」という言葉は、依頼が叶った未来を先取りしている言葉でもあります。人は、「やって当然」と受け取られるよりも、「感謝される」と感じたときに、心が前向きに動きやすいものです。
実は、私自身も多忙な時期に講演のご依頼をいただいたことがありました。日程的にはかなり厳しい状況でしたが、そのメールには次のように書かれていました。
「先生にご登壇いただけましたら、社員にとって大きな励みになります。ご多忙のところ誠に恐縮ですが、お引き受けいただけましたら本当にありがたく存じます」
その一文に、私は心を動かされました。単なる依頼ではなく、「なぜ、私にお願いしたいのか」という理由と、実現した場合の感謝の気持ちが丁寧に綴られていたからです。結果として、私は日程を調整し、そのご依頼をお引き受けいたしました。
人は理屈だけで動くわけではありません。「必要とされている」と感じ、「感謝される未来」が見えたときに、自然と力を貸したいと思うのではないでしょうか。







