こうした依頼の判断ポイントは、

・恒久的ではない→いつかは終わる(長さは要確認)

・相手がとても困っている→対応することで感謝される

・デメリットが許容範囲→多少、自分の意向とズレてはいても、信念を曲げねばならないほどではない

 などになります。

 これらを踏まえて、「恩を売る」ことを意識するのは、組織人としての処世術です。少ない労力で、多くの感謝を集めることを目指すわけです。

 こういう「負担が限定的な依頼・お願い事」を適度にこなしながら、自身の評価・評判を高めていくと、少しずつ、こちらの意見も通りやすくなります。

 立場の上下や、取引関係の強弱に関係なく、「人と人との恩義」をベースに動く人は、少なくありません。

「あいつは、以前、俺のために頑張ってくれた」「彼は、無理な依頼を引き受けてくれた」というふうに思うと、それをどこかで返そう、と思う人が多いのです。

 ごく一部、そうでない人もいるでしょうが、大半は「自分が誰かの手伝いをしたときに、感謝を示してもらった」という経験がありますから、自分が助けてもらったときには何かしらのお礼をするべきだと考えます。

感謝の積み上げが
新しい道をひらく

 もちろん、一回だけ土曜出勤をしたからといって、海外駐在の希望が通るわけではありません。依頼を受けるかの判断に「許容範囲か否か」というものがあったのと同様に、お礼に際しても適切な「程度」があります。

 そう。だからこそ、「感謝の積み上げ」「恩義の積み上げ」が大切なのです。

 日々、特定の人の感謝を集めるだけでなく、多くの人の感謝を集めましょう。恩を売りましょう。スタンプラリーのイメージです。

 そうすると、あなたが何かやりたいことがあるときに、「少しずつの感謝・恩義」をもった味方が、社内のあちこちに存在していて、しれっと後押しをしてくれます。

 そもそも、いろいろな依頼を受けるということは、いろいろな人とコネクションがあるということです。

 また、依頼をこなす中で、普段知り合わない人や関わらない人と一緒に何かを行う機会も増えますから、さらに人脈が広がります。顔が広くなります。

 若手社員はあまりイメージを持てないかもしれませんが、「仕事とは、結局は人脈で決まる」という実感をマネジャーの皆さんはお持ちのことだと思います。

 こうした話をしっかりと伝えていくことは、会社の利益にもなりますが、なによりも若手社員の利益にもなります。

 会社都合を押し付けているわけではなく、若手に「立ち回りのうまさ」を身につけてもらうことを目指して、上手にガイドしていきましょう。