「うつ病かも」と来院したことが
患者にとって最大のSOS
「これはもう、ぼくら精神科医に向けて書かれた本なのではないか」と思いました。どんな患者さんにも、「あなたには薬が必要です」と答えているようであれば、呪術師と変わらない。
本当に薬が必要な人と、まず相談に乗るべき人を見極める。これもまた、精神科医の重要な役割なのです。
『「心の病」がみえる脳科学講義』(加藤忠史 翔泳社)
「新型うつ」の議論で欠かせないのが診断書の扱いです。ぼくら精神科医は、診断名をどう書くかによって誤解を招くことを知っているので、あえて曖昧に記すこともあります。しかし、その曖昧さがかえって混乱を生んでしまうこともある。
また、誤解を避けるためには、患者さんの職場との連携が欠かせません。けれども、実際の外来診療は5分、10分の世界。患者さんの同意を得て、診察室から電話で上司に説明する余裕はまずありません。患者さんと一緒に職場の人に病院に来てもらうのが現実的な方法ですが、実際にはなかなか難しいのが現状です。
大切なのは、実際には「うつ病でなかった」としても「うつ病かもしれない」と思って病院に来られたという事実です。それ自体が、助けを求める援助希求行動のサインなのです。
かといって、何でもかんでも医療化させて、病気扱いするのは正しくない。そこで必要になるのが「ふつうの相談」という支援です。加えて、精神保健福祉士などのケースワーカーと連携した、職場調整などの社会的な支援も重要でしょう。







