どういうことか、まず燃油サーチャージについて簡単に解説しよう。2000年代初頭、湾岸戦争による原油価格の高騰を受けて本格的に導入され、日本では2005年にスタートした。

 ジェット機の燃料である「ケロシン」の価格は、世界情勢や市場の需給によって変動する。本来、燃料費は運賃に含まれるべき性質のものだが、急激な価格変動を運賃本体に即座に反映させることは難しい。

 そこで、運賃とは別の「付加運賃」として設定し、燃料価格に連動させて数カ月単位で改定する仕組みが定着した。航空会社は、ケロシン価格のテーブルを作成し、その範囲の中でサーチャージを上下させる。

 日本の航空会社の場合、シンガポール市場のケロシン価格の平均値を基準に算出する。通常、改定の2カ月前に、2カ月分を国土交通省航空局に申請する。そのため、燃料市場価格の変動が実際のサーチャージに影響するまでには一定のタイムラグが生じる。

 つまりANAとJALの今回の据え置きは、算出基準となる直近数カ月のケロシン価格が、サーチャージ変更の適用条件を満たさなかったことによる「機械的な判断」である。あくまで現行ルールのタイムラグによる一時的な猶予に過ぎない。

6月~7月発券分、過去最大級の上げ幅の可能性も

 現状は「嵐の前の静けさ」であって、この先決して楽観視することはできない。NY原油先物市場は3月15日、再び1バレル=100ドルの大台を超えた。こうした急騰を受けて、次回の改定サイクルである6月~7月発券分に反映される可能性が極めて高い。

 さらに言えば、現在のパニック的な市場環境が続けば、過去最大級の上げ幅を記録する恐れがある。そうなると、夏休みシーズンの航空券をこれから取る人にとっては大幅な費用増につながるだろうし、海外旅行を検討していた人にとっては飛行機に乗ること自体を控える展開も予測される。

 なお、中東便の運航自体は、ANAはイスタンブール便も含めて平常運航を継続している。JALはカタール航空とのコードシェア路線であるドーハ便を3月31日の羽田発まで運休※と発表している。※3月16日時点