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「いい子でいなければ」……そう自分に言い聞かせながら、周囲の期待に応え、正しく生き続けてきた人がいる。だが、その“正しさ”は本当に自分にとっての正しさなのだろうか。周りの期待に過剰に応えようとする背景には、どんな心の傷が潜んでいるのか。臨床心理士の帆足暁子氏が事例を交えて解説する。※本稿は、臨床心理士の帆足暁子『人とかかわるのがずっとつらかったあなたへ 愛着障害という心の傷を癒やすために』(草思社)一部を抜粋・編集したものです。
母の機嫌を損なわぬよう
頑張りすぎてしまう女性
ひとみさん(仮名、20代)の家は、父親はいつも子どもにやさしかったけれど、母親は普段はやさしく穏やかで普通なのですが、疲れてくるとイライラして子どもに当たることがありました。「子どもがいなければ、私だってもっときれいにしていられるのに」と否定の言葉を投げかけられたり、「なんでそれくらいやってないの!」と怒られたりする。それが嫌で、ひとみさんは小さい頃から、「お母さんを疲れさせてはいけない」「お母さんをイライラさせてはいけない」と緊張感を持って「お母さんに合わせる」生活をしていました。だから、「そのままの自分を受け入れられている」という実感は持てなかったのです。
父親はひとみさんを受け入れてくれていて、かわいがってくれたとひとみさんは言います。一方で、「でもきっとお父さんはお母さんが一番大事で、私じゃないんだ」と思っていました。だから余計に、母親が受け入れてくれるような「正しい自分」でいなければ、自分は見放されてしまうのではないかとひとみさんは思っていました。







