米国は世界最強だが…
傲慢さが判断を誤り「三度目の失敗」か

 自国第一の思想を持ち、英語以外の言語を話さず、海外に住んたことがないトランプ氏は、世界の文化や宗教には疎いようだ。少なくとも、イスラム教徒の思考や行動を十分に理解しようというタイプではない。

 異文化、異宗教への理解不足は、戦線を泥沼に落とし込むことになる。私は、これらの知識をグローバルリベラルアーツと呼んでいる。現代の政治家やビジネスパーソンにとって必須の知見であると思う。

 アメリカは、軍事、経済、ビジネス、いずれの分野においても世界最強であり、周辺に軍事大国がないなど地政学的な優位性から、今後もその地位は揺るぎそうにない。

 しかし、力を持ち過ぎたが故に傲慢になり、時に判断を誤るということは往々にしてあると考える。過去の対アフガン、対イラク戦争も「戦略的な失敗」「名誉なき敗退」と語られることが多い。

 そしてトランプ氏のぶれた発言のせいで原油市場や金融市場がパニック状態であるように、世界の社会経済を危機に陥れている。

 今後の展開は予測しにくいが、「長期間にわたる親米国家イランが生まれ、中東も世界も安定する」を成功と定義するならば、「ほぼ確実に失敗する」のではないかと考える。

 最後に、ニクソン元米大統領が、『指導者とは』で書いている次の言葉をトランプ大統領に送りたい。

《米国の為政者は重要な決断の前には、ヨーロッパの首脳の意見を聞くべきだ。(中略)力のある者が必ずしも最大の経験と最高の頭脳と眼識と直感を備えているとは限らない。》

山中俊之プロフィール